急峻な山地斜面を活用した梅栽培

 三方五湖の周辺山地は、断層地形により急峻な斜面となっています。また、多雪地の日本海側にあっては比較的温暖で冬季の積雪が少ない地域です。さらに、湖面に向かって連なる山地の急斜面は、山地に遮られることで風も弱まります。こうしたことから、三方五湖の周辺里地の急峻な山地斜面では梅栽培が広がっており、この地域の産業として重要な位置づけとなっています。現在は「福井梅」としてブランド化された三方五湖を中心とする梅栽培では、梅干し用の「紅サシ(紅映・べにさし)」と梅酒用の「剣先(けんさき)」の2品種が主に生産されています。これらの品種は、国内各地で高く評価されるようになったことから、昭和初期より販路が広がり、栽培面積も拡大しました。

 三方五湖周辺における梅栽培は、日本海最大の産地を形成するに至り、地元となる若狭町においては重要な産業の一つとなっています。一方、近年では青梅消費の減少や後継者不足の農家の増加、及び後継者の技術・経験不足等の問題も顕在化してきており、梅栽培の中心となる若狭町においては「若狭町梅振興ビジョン」(若狭町、平成26年)を策定し、戦略的な梅栽培とその振興に取り組んでいます。

 三方五湖における漁業では、他の産業との兼業で行われています。漁業者は、水田稲作や梅栽培にも携わることで、狭い地域での持続的な農業・水産業により生計を支えてきています。

 なお、地域内の梅栽培農家は、水稲栽培と同様に、平成25年より全員がエコファーマーに認定されており、環境に配慮した持続的な農業を行っています。

三方五湖周囲に広がる梅畑
三方五湖周囲に広がる梅畑
梅酒用の「剣先」品種
梅酒用の「剣先」品種